工作工房製作奮闘記

何でもセルフで工作出来るように、古民家に工房を作っています。

戦前ハムJ8CD局のご子息さんと面談

 日本における戦前のアマチュア無線局数は、331局のみで希少であり、戦前のハム局J8CD局とゆかりのあるご子息さん(女性93才)と面談できるのは、大変幸運なことでした。

 

ご子息さんとのなりそめ

私の家内がテニスのサークルに入る平成3年の時、時期を同じくして子息さん(女性MKさんとして話を進めます)と出会うことになりました。

しばらくして、家内が私の趣味である「アマチュア無線」のことを話すと、ご子息さんは、私の父もアマチュア無線をしていましたと言ってJ8CD局のシャック写真等を見せて頂きました。戦前のアマチュア無線局の生写真を見るのは初めてでびっくり仰天しました。おまけに北朝鮮平壌で運用していたと聞いて再度びっくしました。

MKさんと、家内は交流を続けて、年賀状も毎年欠かさず頂きました。30年の年月が流れて、今年の1月、嫁さんと二人で面談することになりました。

家内は、サークル活動、私はJ8CD局のことをじっくりと楽しく話し合いしました。

 

以下に、お伺いしたことや秘蔵写真など、J8CD局のことについて解説致します。

J8CD局の略歴

大正14年京城医学専門学校を卒業 平城で「長滝産院」を開業

昭和10年アマチュア無線局(実験用私設無線電信無線電話)J8CD開局

後に、陸軍病院に徴兵、勤務の後、中国に抑留 ※厳しい生活を送る

終戦後、ハム仲間を訪ねて愛媛県に帰国、上浮穴郡久万町で生活スタート

昭和28年、若くしてお亡くなりになりました。 ※ハムの再開はできませんでした。

 

J8CD局のシャック写真

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平成3年、ご子息さんから見せて頂いたシャックの生写真

コールサインJ8CDの銘板が片隅に見られます。 写真を撮影したのは、1937年 

交信した局のQSLカードがびっしりと貼られています。

下段から、受信機 中段、変調器 上段、送信機のようです。

 

J8CD局のご尊顔

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お名前は、長滝良蔵さん

開業した、自身の「長滝産院」でコールサインプレートを持って記念撮影

車は、黒のダットサン 

お住まいは、平壌大和町2

 

J8CD局のQSLカード(交信証)

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同局のQSLカード 特徴の赤が際立つカード

珍しい北朝鮮平壌からの運用です。

私設無線電信無線電話検定証書の日付は、昭和10年7月31日 第65号

 

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この他に、満州国は、MXを使用

 

J8CD局の設備や運用形態

送信機は、手作りで、終段入力20W(出力は10w) 法令で10W以下と規定されていた。

発振は、水晶振動子、使用真空管は、2A5~46~202A

受信機も手作りの、1-V-1 使用真空管は、58~57~2A5

後に、8級スーパーになって各局へのRSレポートが向上している。

アンテナは、長さ20mのツェッペリン ※法令で高さは15m以下と規定されている。

主に14.200Kcの電信で全世界のたくさんの局と交信、本土や満州の各局とは電話で交信していたそうです。

特に、満州奉天省のMX2B長野さんとは、特に懇意にされていて何度も家にこれらていたとのことでした。

 

J8CD局、帰国してからの歩み

終戦後、ハム仲間を頼って、愛媛県に帰国(出身が愛媛県宇和島市だったため)、今の上浮穴郡久万高原町で生活を始める。

少しして、近くにすむ駐在所の藤原さん宅のお産に立ち会う。とり上げたのは、カメンライダー1号で有名な、藤原弘(今の芸名)さん。

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藤原弘さんは、アマチュア無線局JQ1QFCで運用されています。

何とも不思議な巡り合わせですね。

 

長滝良蔵さんは、昭和28年に若くしてお亡くなりになりました。

戦後のハムが解禁された頃ですが、自身のハム局再開は果たせませんでした。

 

ご子息のMKさんは、ご結婚されて、伊予郡砥部町にお住まいになられてスポーツを始め多彩な趣味を満喫されてきました。

今年、93才になられたそうですが、テニスは5年前までやっておられてびっくりでした。今は、一人暮らしになったそうですが、自宅でお元気にされています。

面談後、帰り際に最近の工作品を頂きました。

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頂いた作品は、梱包用プラスチック製紐を巧みに編んだ手提げバッグです。

紐がきつくしまって大変頑丈です。 きつく締める力があるのにびっくりです。

毎日、大切に使っています。