工作工房製作奮闘記

何でもセルフで工作出来るように、古民家に工房を作っています。

戦前の真空管、最新の回路で鮮烈に蘇る

 戦前のラジオに使われていた真空管を4本抽出し、ミニ出力のステレオアンプを製作しました。最新の部品と回路を導入して80年超の時を超えて鮮烈な音を奏でています。

  戦前の真空管は、カソードの無い直熱管であり、蓄電池で動作していたなごりがあるため、電灯線からのブーンと言うハム音が完全に除去できないまま使っていたようです。近年では、半導体を使った電源回路を使うと完全に除去することが出来ます。

 今回のステレオアンプでは、ヒーターの回路に三端子レギュレータと言うICを使って製作し、全段直熱管のアンプが出来上がりました。

 

戦前のラジオから抽出した真空管4本です。 UX-12Aと、UX-26Bで全てヒーターが直熱式の物でステレオアンプを製作することにしました。

 

 

 戦前は、達成することが出来なかった電灯線からの電源ハムは、近年の半導体を使うと完全に除去することが出来ます。

 今回使用したのは、三端子レギュレータ(上段の4個)と、ブリッジダイオード(下段5個)です。大容量の電解コンデンサーも使います。

 

 

最初に、真空管のコントロールグリッドに印加するマイナス電源を生み出す電源基板を製作しました。 AC100Vを直流の-7Vと、-14Vを得ることが出来ました。

 

 

部品を取り付ける金属のシャーシを加工。ドリルやパンチを使って穴あけをします。一番重労働な作業工程です。

 

 

シャーシー加工が済んだら、化粧シートを張った後、いろいろな部品を取り付けます。見栄えを重視して丁寧に加工しました。楽しい工程です。

 

 

部品の取付が終ったらたら、配線の工程に入ります。明るくして作業を進めます。

 

 

配線が完了しました。 まだバラックの状態です。 誤配線や接続不良が無いか確認します。

 

 

電灯線をつないで、各部所の電源電圧を確認してから、一度電源を切って真空管をソケットに差し込み、スピーカーへの線とCDからの線を接続します。

電源スイッチを入れると、一発で音が出てきました。動作させながら各部の電圧を再度確認します。こんちゃん設計どおりの適正な電圧でした。

ゆうゆ(岩井由紀子)のCDを聞きながらルンルンでアンプの点検を行いました。

 

 

出来上がった真空管式ステレオアンプの鳥瞰写真です。

松の側板を付けました。2つの四角い箱は、トランスケースでブリキの灰皿を流用しました。

このアンプは、全段直熱管で構成した上、電源回路に半導体を使ったので、電源スイッチを入れて2秒以内の短時間で音が出て来ます。まるでソリッドステートの様な錯覚を覚えます。 

 

 

調整の後、いろいろなジャンルの音楽を試聴しました。

リーワイイリーの「ナイトいんマンハッタン」1950年の録音です。レトロなジャズが当時を醸し出します。 他に、クラシック、ハワイアン、楽器のみのジャズ等、鮮烈でさわやかな音を楽しみました。

80年以上経過した真空管は、最新の回路と素子を使うことによって鮮烈に蘇りました。